【小話】昔ながらの接着剤 膠(ニカワ)の話
こんにちは、金剛寺です。
毎日蒸し暑いですね。
今日は膠(ニカワ)についてお話をしたいと思います。
膠(ニカワ)とは、ザックリ言うと、ゼラチン質ののり剤です。
洋画(主に古典技法)だとウサギの膠が主流です。
日本画だと、現在は牛の膠が主流です。
現在は、ほぼ靴などに使われる牛から膠を作っているようです。
かつては鹿の膠が主流でした。昔は牛を食べなかったので、鹿の方が消費量があったためでしょう。
それぞれの国で、取りやすい動物から膠を作っています。
ちなみに「鹿膠」という名前で売られている膠は、現在は牛の膠です。
浅草で取れてないけど「浅草のり」みたいな感じで、「鹿膠」という名前だけ残った感じです。
「鹿膠」と書いてある商品の方が、普通の膠より不純物が少ないです。
不純物が少ないということは、腐りにくいです。
また、接着力も普通の膠よりやや強めです。
価格:572円 |
日本の膠の種類は
・三千本
・粒膠
・膠液
などがあります。
三千本(サンゼンボン)は、棒状の固形膠です。
平べったく広げて固めたものを、細長く切った物で、おおよそ「三千本」取れるから三千本と言われています。
価格:464円 |
実際は「たくさん作れる」ぐらいの意味で三千本と呼ばれていると思われます。
たくさんいる神様を「八百万(やおよろず)の神々」と呼ぶのと同じ感覚です。
粒膠は文字通り、粒状になった固形の膠。
三千本だと、1~2センチ程度にボキボキ折って使うので、すでに粒状になっている膠は溶かしやすくて便利です。
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膠液はすでに液状になった物が売られています。膠液には防腐剤が入っているので腐りにくくなっています。
固形の膠は、陶器の膠鍋に水と膠をいれて、ゆっくり温めながら溶かしていきます。
膠液だとその工程が省けるので便利ですね。
価格:643円 |
一方、ウサギの膠ですが、固形の状態(荒い粒状)で売られています。
価格:1,650円 |
使用方法は、水で一晩ふやかしたものを、金属製のボウルに入れ、湯せんにかけて溶かし、膠溶液をつくります。
そこにボローニャ石こうなどの下地に使う粉末を入れて混ぜ、板に塗って下地を作るのにつかわれることがほとんどです。
そんな膠ですが、匂いがものすごくあります。
動物の匂いです。かなり臭いです。
そしてゼラチン質なので、当然腐ります。
ゼリーもゼラチンでできています
夏場は特に足が速いです。
あんまり冷蔵庫に入れるのも、本当は良くない(溶かした後、固まりにくくなったりする)ので、基本的にはすぐ使い切るだけの分量を溶かして使います。
さらに
夏の暑さが膠を固まりにくくします・・・・。
膠がダレて固まりにくくなってしまうのです。
涼しい部屋で作業するか、膠の量を多めにするとか調整が必要になります。
洋画の方では、膠を使った下地作りは冬にまとめてやる人もいるぐらいです。
夏場の膠作業は室内の温度、湿度に気を付けながらやるといいですよ。