絵を楽しむ

画材店に勤務する画歴20年以上の画家が、お勧めの画材などをご紹介していきます。

【小話】昔ながらの接着剤 膠(ニカワ)の話

こんにちは、金剛寺です。

毎日蒸し暑いですね。

 

今日は膠(ニカワ)についてお話をしたいと思います。

膠(ニカワ)とは、ザックリ言うと、ゼラチン質ののり剤です。

 

洋画(主に古典技法)だとウサギの膠が主流です。

 

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日本画だと、現在は牛の膠が主流です。

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現在は、ほぼ靴などに使われる牛から膠を作っているようです。

かつては鹿の膠が主流でした。昔は牛を食べなかったので、鹿の方が消費量があったためでしょう。

 

それぞれの国で、取りやすい動物から膠を作っています。

 

 

ちなみに「鹿膠」という名前で売られている膠は、現在は牛の膠です。

浅草で取れてないけど「浅草のり」みたいな感じで、「鹿膠」という名前だけ残った感じです。

 

「鹿膠」と書いてある商品の方が、普通の膠より不純物が少ないです。

不純物が少ないということは、腐りにくいです。

また、接着力も普通の膠よりやや強めです。

 

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日本の膠の種類は

・三千本

・粒膠

・膠液

 

などがあります。

三千本(サンゼンボン)は、棒状の固形膠です。

平べったく広げて固めたものを、細長く切った物で、おおよそ「三千本」取れるから三千本と言われています。

和膠 三千本 飛鳥 5本入 (約50g)

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実際は「たくさん作れる」ぐらいの意味で三千本と呼ばれていると思われます。

たくさんいる神様を「八百万(やおよろず)の神々」と呼ぶのと同じ感覚です。

 

粒膠は文字通り、粒状になった固形の膠。

三千本だと、1~2センチ程度にボキボキ折って使うので、すでに粒状になっている膠は溶かしやすくて便利です。

 

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膠液はすでに液状になった物が売られています。膠液には防腐剤が入っているので腐りにくくなっています。

 

固形の膠は、陶器の膠鍋に水と膠をいれて、ゆっくり温めながら溶かしていきます。

膠液だとその工程が省けるので便利ですね。

 

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一方、ウサギの膠ですが、固形の状態(荒い粒状)で売られています。

 

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使用方法は、水で一晩ふやかしたものを、金属製のボウルに入れ、湯せんにかけて溶かし、膠溶液をつくります。

そこにボローニャ石こうなどの下地に使う粉末を入れて混ぜ、板に塗って下地を作るのにつかわれることがほとんどです。

 

 

そんな膠ですが、匂いがものすごくあります。

動物の匂いです。かなり臭いです。

 

そしてゼラチン質なので、当然腐ります。

 

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ゼリーもゼラチンでできています

 

夏場は特に足が速いです。

あんまり冷蔵庫に入れるのも、本当は良くない(溶かした後、固まりにくくなったりする)ので、基本的にはすぐ使い切るだけの分量を溶かして使います。

 

さらに

夏の暑さが膠を固まりにくくします・・・・。

 

膠がダレて固まりにくくなってしまうのです。

涼しい部屋で作業するか、膠の量を多めにするとか調整が必要になります。

洋画の方では、膠を使った下地作りは冬にまとめてやる人もいるぐらいです。

 

夏場の膠作業は室内の温度、湿度に気を付けながらやるといいですよ。