絵を楽しむ

画材店に勤務する画歴20年以上の画家が、お勧めの画材などをご紹介していきます。

【油絵具】お勧め!薄塗りに最適なドイツの高級油絵具 シュミンケ「ムッシーニ」

こんにちは、画家の金剛寺です。

 

今日は、薄塗りに最適なドイツの高級油絵具、シュミンケの「ムッシーニ」をご紹介いたします。

 

柔らかく、透明感があり、とても発色の良い油絵具です。

オイルで薄く溶いて、絵の具を重ねていく技法に適しています。

 

それでは「ムッシーニ」について、詳しくご紹介していきましょう。

  

◆伝統的な製法◆ 

シュミンケは140年以上の歴史を持つ、ドイツの老舗会社です。

イタリアのフローレンス アカデミーで絵の具の開発をしていたチェザーレ・ムッシーニ教授が開発しました。

 

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開発者のムッシーニ氏

 

 シュミンケの油絵具は、普通の油絵具とちょっと違っていて

「レジンオイルカラー(樹脂油彩絵具)」と呼ばれる油絵具です。

 

 一般的な油絵具は、「顔料」と「オイル」を練り合わせて作られていますが

ムッシーニは、「顔料」を「天然樹脂(レジン)を加えた油」で練った絵具なのです。

 

残念ながら、何の樹脂を混ぜているのかまでは情報が無かったのですが

樹脂を混ぜると画面が強靭になったり、ツヤや透明感が出たりします。

 

この「レジンオイルカラー」の処方と技術は、印象派(睡蓮で有名な、モネなどの画家たち)が生まれるころには、ほとんど失われてしまったようです。

 

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昔の画家たちは、独自の処方で「レジンオイルカラー」を手作りしていました。

その日使う分だけを、描くたびに練って作ったり、豚の膀胱に詰めてヒモで縛って保存したりしていました。

 

しかし、19世紀前半ぐらいから金属製の注射器のような、絵の具の容器が発明され(のちに改良され、チューブ式絵具になります)

絵具がどんどん工場で生産されるようになりました。

 

すると画家たちは、めんどうな絵具づくりをやめ、メーカーが作った絵の具を買うようになったのです。

 

とても画期的ではあったのですが、一方で絵の具から樹脂分はほとんど取り除かれてしまい、結果としてこのころから、油彩画の保存性が低下してきました。

 

 

画面強度をコンクリートブロックで例えるならば

 

「顔料」+「オイル」 は普通のコンクリートブロック

「顔料」+「オイル」+「樹脂」 は鉄骨入りのコンクリートブロック

 

といった感じでしょうか。

 

 

15世紀のヨーロッパで描かれた作品の優れた保存性は、すでに科学的にも立証済みですが、その伝統的秘法は、印象派以降は、ほんのわずかな継承者だけに受け継がれました。

 

昔の油絵は、カラーフィルムを何層にも重ねるように、絵の具を油で薄く溶いて

絵具を塗る ⇨ 乾かす ⇨ 絵の具を塗る ⇨ 乾かす

 の作業を繰り返し、深みのある色合いや、写真のようなリアルな質感を出していました。

 

超有名な画家だと、レオナルド・ダ・ヴィンチがその手法を用いています。

 

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レオナルド・ダ・ヴィンチモナ・リザ」16世紀ごろの作品

 

のちにカメラが発明され、「写真ではできない、絵画ならではの表現」を画家が模索しはじめ、印象派などのような作品が生まれてきました。

 

「薄塗りによる写実」から「厚塗り、盛り上げるなどの様々な表現」の時代に移行していったことも。「レジンオイルカラー」が忘れ去られていった要因の一つではないでしょうか。

 

 

シュミンケ社が世界に誇るレジンオイルカラー「MUSSIN(ムッシーニ)」は、巨匠たちによる伝統と経験を今なお尊重して造られている世界唯一の油彩絵具です。

 

妥協を許さない最高級の顔料と、天然樹脂を加えた溶剤と共に、ダイアバス(超硬質な溶岩で造った低速で回転差をもつ精密な練り器)で丹念に練り上げられ、一定期間、熟成された後、にじみ出た余分な上澄みの油を取り除き、もう一度練り機にかけて製品にしています。

 

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https://www.maruzen-art.co.jp/schmincke

 

 

◆絵の具の特徴◆

ムッシーニの101色は全て

最高の耐光性(83の絵具が上位にランクされています)

最大の明度

色彩の純度を有しています。

 

1色の油絵具を作るのに、複数の顔料を使いすぎると、パレットで混ぜた時に絵の具が「灰色がかってしまう」場合があります。

 

ムッシーニは、単一の顔料のみを配合して絵の具の純度を維持することで、絵の具を混ぜた時に極めて優れた「クッキリと鮮やかな色」が出るのです。

 

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https://www.maruzen-art.co.jp/schmincke

また、ムッシーニの110色のうち42の絵の具は「透明」もしくは「半透明」である為、光を深く浸透させ、素晴らしい明度と豊かで明るい色彩を生み出すことが出来ます。

 

つまり、油絵具をオイルで溶き、薄く塗っていく、写実的な絵画技法にとても適しているのです。

  ムッシーニ油絵具 「トパーズオレンジ」名前も素敵です。

 

Schmincke シュミンケ ムッシーニ油絵具 903 トパーズオレンジ6号(15ml)

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ムッシーニ油絵具 「ルビーレッド」

 

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ここまでお読みいただきありがとうございます。

まずはお気に入りの1色を、試しに購入してみるのはいかがでしょうか? 

 

楽しいアートライフをお楽しみください。