【水彩画】水彩紙の絶対王者! アルシュ水彩紙
こんにちは、画家の金剛寺です。
今日は最高級の水彩紙「アルシュ」について、お話したいと思います。
アルシュ紙はゴッホ、マネ、ミロ、モネ、ピカソと世界中のアーティストたちに愛されてきました。
数々のアーティストたちを虜にしてきたアルシュ紙とは、いったいどんな紙なのでしょうか?
【歴史】
アルシュ水彩紙は、フランスのアルジョウィギンス社の製品です。
1492年に、フランスのロレーヌ地方アルシュ工場で生まれました。
1492年といえば、コロンブスが新大陸を発見した年ですね。
ザッと5世紀以上にわたり、ノウハウと伝統を忠実に守られて作られている、歴史のある紙です。
こうして先祖代々受け継がれてきた知識と技術を駆使した、最高品質の紙ARCHES®は、フランスの無形文化財に指定されています。
【原材料】
アルシュ水彩紙は、コットン100%を使用しています。
紙の原材料には、大きく分けて「コットンパルプ」と「木材パルプ」があります。
【コットンパルプで作られた水彩紙の特徴】
・にじみが美しい
四方八方に、ふわ~っとしたにじみが出ます。
・重ね塗りがしやすい
紙の奥まで色が浸透するため、上から色を重ねても、下の色が溶けづらい。
ただし、色が浸透しやすいため、後からふき取るなどの修正はしづらい。
・比較的ゆっくりと乾く
ゆっくりと乾く為、グラデーションがしやすい。
・値段が高め
【木材パルプで作られた水彩紙の特徴】
・比較的早く乾く
・修正がしやすい
コットンのように、紙の奥まで浸透しない為、後からふき取って修正したりしやすい。
・お値段が比較的お手頃
コットンパルプ100%の水彩紙は、なんといってもにじみの美しさです。
私も使ったことがあるのですが「なんか上手く見える?!」気がします。
【製法】
伝統的な円網抄紙機を使った、比較的手すきに近い製法
モールドメード(mould-mado:半機械漉き)で作られています。
円網抄紙機を使うと、厚い紙が抄けるのが特徴です。
ただし、高速になると遠心力と抵抗が増す為、繊維が機械の進む方向に向いてしまいます。
繊維が同じ方向を向いてしまうと、強度がやや弱くなったり、にじみがキレイに出にくくなったりしてしまいます。
アルシュ紙は、円網方式で機械の流れる速度を遅くし、繊維がうまく混ざった状態で抄き上げます。
この製法で作られた紙は、手漉きのように繊維が絡み合って強度が強くなり、四方に耳が付いた状態で出来上がります。
ちなみに
「手漉き」の場合は「漉く」
「機械で抄く」場合は「抄く」の漢字が使われます。
アルシュ紙は紙の保存性を高めるため、防カビ処理や紙の芯まで膠溶液(ゼラチン)を浸透させた、サイジング(にじみ止め)の処理が施され、丈夫で絵の具ののりや発色が良くなるように造られています。
この「サイジング溶液」がアルシュの秘密というか、キモです。
もちろん何を使っているのか、詳しいレシピは企業秘密とされています。
色んな紙メーカーが再現しようとしていますが、なかなか再現できないようです。
【紙色・目・厚さ】
紙の色は「ナチュラルホワイト」です。
より白い「ブライトホワイト」は、シート(1枚ずつバラ)のみで販売があります。
*2021年6月現在、輸入代理店マルマン(株)より
Arches® アルシュ水彩紙|Maruman マルマン株式会社
目の粗さは3種類
「荒目(トルション:torchon)」
「細目(ファン:fin)」
「極細目(サチネ:satine)」
*「中目」がなぜか存在しておらず、「細目」が中目に当たります。
厚さは坪量(つぼりょう:1平方メートルあたりの紙1枚の重さ)で
185g、300g、356g、640g、850gなど、5種類あります。
紙の場合、重さで厚みを表すことがほとんどです。
グラム数が高いほど、厚い紙になります。
300gあるとかなり厚く、水をたっぷり使って描いても紙が波打ちにくいです。
ちなみにコピー用紙がだいたい約60gなので、かなり厚いことがお判りいただけるかと思います。
紙の下には「ARCHES」の文字(正しく読める方が、紙の表側)と
「∞」のマークが透かしまたはエンボス(型押し)されています。
これは「∞無限(インフィニティ)」を意味し、保存性の高さを象徴するものとしてつけられています。
メーカーの並々ならぬ自信、製品に対する誇りを感じますね。
ちょっとお値段は高めなのですが、本当に発色やにじみがキレイで、1度使うと手放せなくなってしまう紙です。
パットタイプ(1枚ずつはがせるレポートパット状のもの)が比較的お手頃価格なので、一度試してみるのも良いかと思います。
こちらは「細目」
アルシュ 水彩紙 パッド 300g/m2 細目ファン 26X36cm 12枚 (39531011) 新品価格 |
ここまでお読みいただきありがとうございます。
どうぞ楽しいアートライフをお楽しみください。