絵を楽しむ

画材店に勤務する画歴20年以上の画家が、お勧めの画材などをご紹介していきます。

【水彩紙】紙も風邪をひく? 水彩紙を保管する時、気を付けること

こんにちは、画家の金剛寺です。

 

だんだん梅雨に近づいてきましたね。

今日は、水彩紙の保管についてお話していきたいと思います。

 

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結論から言うと

・風通しの良い所に置く

・もしくはビニール袋に乾燥剤を入れて保管する

・直射日光の当たらないところに置く

・1年以内に使い切れる分ぐらいの量を買う

 

この辺がポイントになります。

紙に大敵なのが

 

・直射日光

・湿気

 

直射日光が悪いのは、紙が黄ヤケしてしまうからです。

これはなんとなく想像がつくかと思います。

 

ではなぜ湿気が大敵なのでしょうか?

 

それは紙に施された「にじみ止め」と関係があります。

 

 

水彩紙には「にじみ止め」という加工が施されています。

この「にじみ止め」をしていないと、ジュワーッと色が広い範囲に染みこんでしまい、クッキリシャープに描けなくなってしまったりします。

 

なので、ほどよく染み込むように「にじみ止め」という加工が施されています。

ちなみに、にじみ止めの加工を施すことを「サイジング」と呼びます。

 

水彩紙のにじみ止めには、ゼラチンやマツヤニなどが使われているようですが・・・

水彩紙業界において、「にじみ止め」は紙のキモなので、何を使っているかは企業秘密とされています。

 

日本画や、書道の紙には「ドーサ液」と呼ばれるにじみ止めが使われています。

こちらはニカワ(ゼラチン)とミョウバンを混ぜて作られています。

(もちろん水彩紙にドーサ液を塗っても問題はありませんよ。)

 

  

さて、そのにじみ止めですが、湿気が多いと劣化して、ところどころ弱い部分が発生してしまいます。

 

そうすると、にじみ止めが弱くなってしまった部分に、絵具がしみ込みやすくなりまだらな状態になってしまうのです。

 

このにじみ止めが劣化してしまった状態を「紙が風邪をひく」と言います。

 

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みんなも風邪には気をつけてね

 

もし、「紙が風邪を引いた」状態になってしまったら

良く乾かして、ホルベインの「マルチサイジング」を塗ると復活します。

 

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 紙に筆や刷毛などで塗り、まる1日乾かしてから使うと良いでしょう。

水で薄めて、濃度を調節することが出来ます。

ホルベインの公式サイトでは、溶液と水の割合を1:1にしたものを塗布した動画が紹介されていました。

ホルベインの動画は、わかりやすくてお勧めです。

 

holbein-shop.com

 

 

 

こうしたサイジング液で復活させることは可能ですが

やはり「消費しきれる量を買う」のがお勧めです。

 

紙は生ものです 

 

ドンドン制作して、新しい紙をその都度購入していきましょう。

 

ここまでお読みいただきありがとうございます。

どうぞ楽しいアートライフをお楽しみください。