【初心者必見】油彩筆と水彩筆の違い
こんにちは、画家の金剛寺です。
今日は、「油彩筆と水彩筆の違い」についてお話ししていきます。
【油彩筆と水彩筆の違い】
油彩筆と水彩筆の違いは、大きく分けると2つあります。
・軸の長さ
・毛の違い
です。
◆軸の長さ◆
油絵は、基本的にイーゼルなどに立てかけたキャンバスに描きます。
この時、軸が長い方が描きやすいので、油彩筆は軸が長く作られています。
それに対して水彩筆は、テーブルなどに紙を置いて描くことが多いです。
テーブルに置いて描く時、軸が長いと邪魔なので水彩筆は軸が短くできています。
◆毛の違い◆
油絵に適している、動物の毛は
「コリンスキー」「狸(ラクーン)」「オックス(牛)」「馬毛」「豚毛」
合成繊維は
「リセーブル」「ナイロン」などがあります。
今回は硬い毛質の「豚毛」
柔らかい毛質の「コリンスキー」
合成繊維の「リセーブル」「ナイロン」について解説していきます。
「豚毛」
硬い毛質(硬毛)代表です。
豚毛には水彩筆にはない、独特の粘り(コシの強さ)があります。
キャンバスに絵の具を塗りこんだり、盛り上げたりするのに適しています。
弾力が強く、耐久性があります。
熟練の職人が束ねて作っています。
ちなみに豚毛は水含みが良くないので、水彩筆には適していません。
「コリンスキー」
柔らかい毛質(軟毛)です。
シベリア地方から、中国東北部に生息しているイタチの仲間の毛です。
雄の尾毛は毛足が長く、最も優れたものとされています。
非常に高価な原毛です。
熟練の職人が束ねて作っています。
柔らかく、コシ(弾力)が程よくあります。
穂先のまとまりが良く、絵の具も含みが良いです。
油絵筆・水彩画筆の両方に使われています。
写真の筆はラファエル社の1862シリーズです。
シベリアンミンクの尾先の毛を使用しています。
寒い地域に生息しているミンクの毛は、保温のため空気をたっぷり含むようにできています。
そのため、筆にした時も絵の具を良く含み、とても滑らかな描き心地です。
細密画や、仕上げの塗りなどに適しています。
「リセーブル」
動物の毛質に似せて作られた、画筆用の特殊な合成繊維です。
動物の毛には、キューティクル(階段状のひだ)があり、それが絵の具の含みを良くしています。
リセーブルは、キューティクルに似せた「ウォータースポット」と呼ばれる凹凸が付けられています。
また、絵の具の含みを良くするために、わざと太さの異なる合成繊維を混ぜて束ねられています。
油彩筆・水彩画筆の両方に使われている毛です。
アクリル画にも適しています。
「ナイロン」
弾力があり、穂先のまとまりが良いです。
量産できるため、安価です。
写真は丸善美術商事社のインターロン、1575シリーズです。
ナイロン毛の内側にカールが施されています。
そのため穂先がバラつかず、しなやかで適度なコシと耐久性があります。
油彩筆・水彩画筆の両方に使われている毛です。
アクリル画にも適しています。
穂先に曲がりグセが付いてしまった場合、熱めのお湯に穂先をつけると治ることがあります。
「コリンスキー」「リセーブル」「ナイロン」に関しては、軸の長さが違うだけで
油彩、水彩どちらにも適しています。
コリンスキーは高価な筆ですが、使ってみるととても描き心地が良いのでお勧めです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
どうぞ楽しいアートライフをお楽しみください。