絵を楽しむ

画材店に勤務する画歴20年以上の画家が、お勧めの画材などをご紹介していきます。

【初心者必見】油彩筆と水彩筆の違い

こんにちは、画家の金剛寺です。

今日は、「油彩筆と水彩筆の違い」についてお話ししていきます。

 

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【油彩筆と水彩筆の違い】

油彩筆と水彩筆の違いは、大きく分けると2つあります。

・軸の長さ

・毛の違い

です。

 

◆軸の長さ◆

油絵は、基本的にイーゼルなどに立てかけたキャンバスに描きます。

この時、軸が長い方が描きやすいので、油彩筆は軸が長く作られています。

 

それに対して水彩筆は、テーブルなどに紙を置いて描くことが多いです。

テーブルに置いて描く時、軸が長いと邪魔なので水彩筆は軸が短くできています。

 

 

◆毛の違い◆

油絵に適している、動物の毛は

「コリンスキー」「狸(ラクーン)」「オックス(牛)」「馬毛」「豚毛」

 合成繊維は

「リセーブル」「ナイロン」などがあります。

 

今回は硬い毛質の「豚毛」

柔らかい毛質の「コリンスキー」

合成繊維の「リセーブル」「ナイロン」について解説していきます。

 

 

ホルベイン 油彩筆 KA(丸)

「豚毛」

硬い毛質(硬毛)代表です。

豚毛には水彩筆にはない、独特の粘り(コシの強さ)があります。

キャンバスに絵の具を塗りこんだり、盛り上げたりするのに適しています。

弾力が強く、耐久性があります。

熟練の職人が束ねて作っています。

 

ちなみに豚毛は水含みが良くないので、水彩筆には適していません。

 

 

「コリンスキー」

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柔らかい毛質(軟毛)です。

シベリア地方から、中国東北部に生息しているイタチの仲間の毛です。

雄の尾毛は毛足が長く、最も優れたものとされています。

非常に高価な原毛です。

熟練の職人が束ねて作っています。

 

柔らかく、コシ(弾力)が程よくあります。

穂先のまとまりが良く、絵の具も含みが良いです。

油絵筆・水彩画筆の両方に使われています。

 

写真の筆はラファエル社の1862シリーズです。

シベリアンミンクの尾先の毛を使用しています。

寒い地域に生息しているミンクの毛は、保温のため空気をたっぷり含むようにできています。

そのため、筆にした時も絵の具を良く含み、とても滑らかな描き心地です。

細密画や、仕上げの塗りなどに適しています。

 

 

 

「リセーブル」

ホルベイン ニューリセーブル 2100R(ラウンド)

 

動物の毛質に似せて作られた、画筆用の特殊な合成繊維です。

動物の毛には、キューティクル(階段状のひだ)があり、それが絵の具の含みを良くしています。

リセーブルは、キューティクルに似せた「ウォータースポット」と呼ばれる凹凸が付けられています。

また、絵の具の含みを良くするために、わざと太さの異なる合成繊維を混ぜて束ねられています。

油彩筆・水彩画筆の両方に使われている毛です。

アクリル画にも適しています。

 

 

「ナイロン」

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弾力があり、穂先のまとまりが良いです。

量産できるため、安価です。

 

写真は丸善美術商事社のインターロン、1575シリーズです。

ナイロン毛の内側にカールが施されています。

そのため穂先がバラつかず、しなやかで適度なコシと耐久性があります。

油彩筆・水彩画筆の両方に使われている毛です。

アクリル画にも適しています。

 

穂先に曲がりグセが付いてしまった場合、熱めのお湯に穂先をつけると治ることがあります。

 

「コリンスキー」「リセーブル」「ナイロン」に関しては、軸の長さが違うだけで

油彩、水彩どちらにも適しています。

 

コリンスキーは高価な筆ですが、使ってみるととても描き心地が良いのでお勧めです。

 

 

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最後までお読みいただきありがとうございました。

どうぞ楽しいアートライフをお楽しみください。